祇園の家

祇園の家

京都東山の祇園で江戸時代から造り酒屋を営んでいた家の改修計画。離れ、土蔵、酒蔵を改修し、生活する場と陶芸工房に生まれ変わりました。
 
陶芸工房として使われることとなった酒蔵は、耐震補強を主目的とし、北側の壁一面及び収納ロフトの床を更新しました。本体から跳ね出した二階の床間を支える鋼製杖を撤去せず梁をかけるために、柱の両側から根太を挟む架構形式を採用しました。また壁一面に棚を設けるために、本来桁材があるべきところから採光しています。

ダイニングキッチンとして使われる土蔵は二間四方、八帖の小さなもので、広さが不足していました。そこで現存する蔵の通し柱、梁、屋根を残しながら、既存の二間四方のボリュームに内外部の中間領域としての出窓空間を付加し、有効利用されていなかった裏庭と一体となる居住空間としました。その中間領域には家族が溜まるためのベンチソファや生活の品や飾りを置くための可動水平棚をしつらえ、庭の静かな外部が、雑多な生活の場である室内と交錯し、外部空間を身体に近づけることを意図しています。分離していた内外の境界を部分的に変更することによって、庭と建物の境界を交錯させ、内部と外部を緩やかに繋いでいます。

この家にとって今回の改修工事も江戸時代から続く増改築の歴史の中の一つに過ぎず、将来もまた同じような増改築工事が行わると考えています。今回の改修もまた「家」という大樹を支える添え木の一つのようであって欲しいと願っています。

場所
京都府京都市
構造規模
木造2階建 100m²
設計監理
KFA         藤田慶
川上聡建築設計事務所 川上聡
構造設計
関西木材工業 植森貞友
施工
林工務店
撮影
松村芳治